ファクタリングに債権譲渡登記は不要?登記なしの条件と注意点【2026年】
ファクタリングを利用するにあたってのポイントのひとつに、「債権譲渡登記」の有無があります。
債権譲渡登記が必要だと手続きや費用に関して不安を感じる方もいると思いますし、そもそも債権譲渡登記がどのようなものか把握できていない方もいるかもしれません。
債権譲渡登記に関しては、「なしだからおすすめ」「ありだから敬遠」といった単純な判断を下すのは難しいです。
ありの場合となしの場合、それぞれにメリット・デメリットや注意点があるので、それらを比較検討したうえで置かれている状況に合ったほうを選ぶことが重要です。
本記事では、ファクタリングの債権譲渡登記について解説すると同時に、登記不要の業者を選ぶ際のポイントなどについても触れていきます。
ファクタリングにおける債権譲渡登記の有無に関して、適切に判断を下すのが難しいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
ファクタリングは債権譲渡登記なしでも利用できる
ファクタリングは平たく言えば、「債権の売買を行うことによる資金調達方法」です。
そのため、債権の売買(=譲渡)を行ったことを公的に証明する「債権譲渡登記」が必要である、と考えている方も多いと思います。
結論からお伝えしておくと、ファクタリングを利用するにあたって債権譲渡登記は必ず必要というわけではありません。
もちろん、契約にあたって債権譲渡登記を求めるファクタリング会社も一定数あります。
ただ、昨今では資金調達のスピードが今まで以上に重視されてきているため、余計な手間やコストを省けるような契約形態が主流になりつつあります。
ファクタリングにおける債権譲渡登記の扱いを、3社間ファクタリングと2社間ファクタリングのそれぞれで見ていきましょう。
3社間ファクタリングなら通知・承諾で対抗要件を備えられる
3社間ファクタリングでは、原則として債権譲渡登記は不要です。
3社間ファクタリングでは契約形態上、ファクタリングを希望する主体が売掛先に対して債権譲渡の通知を行い、売掛先が通知に対して承諾するというプロセスが必ず発生します。
この通知および承諾を、内容証明郵便などの確定日付のある証書によって行うことで、法律上の対抗要件を満たすことになります。
そのため、債権譲渡登記の手続きを行うのは二度手間になるので、原則として必要ないというわけです。
ファクタリング会社にとって避けたいのは、「自社が買い取ったはずの債権をほかのファクタリング会社も買い取っている」という、二重譲渡の状態です。
ただ、売掛先に対する通知・承諾のプロセスによってその可能性もなくなっているため、債権譲渡登記がなくてもトラブルを回避することができます。
2社間でも登記不要で対応するファクタリング会社は多い
一方、2社間ファクタリングは申込者とファクタリング会社の間だけで契約を交わすため、売掛先に対する通知および通知に対する承諾というプロセスは発生しません。
そのため、売掛金を買い取ったファクタリング会社が不利益を被ることのないように、債権譲渡登記を必須とするというのがファクタリング業界の「通例」でした。
しかし、先ほども触れたように資金繰りにおけるスピード感が今まで以上に重視されている昨今において、手続きに数日程度かかる債権譲渡登記が必要なサービスには、利用者が集まりにくくなっています。
また、債権譲渡登記を行うことによって法人の登記簿に履歴が残ることが、将来的に金融機関から融資を受ける際に影響するのでは、と懸念する経営者の方も少なくありません。
そういった背景もあり、現在では2社間ファクタリングでありながら債権譲渡登記不要で利用できるファクタリング会社も、数多くあります。
ただし、債権譲渡登記を行わないことでファクタリング会社が負うリスクは大きくなっているため、その分が手数料に反映されるなどのデメリットはあります。
資金調達までのスピード感とかかるコストを天秤にかけたうえで、債権譲渡登記が必要なサービスと不要なサービスのどちらを選ぶかを決めることが重要です。
登記不要の業者を選ぶ際に確認すべき3つのポイント

債権譲渡登記が不要だと、ファクタリングの手続きにかかる手間が少なくなりますし、将来的に金融機関から融資を受ける場合の懸念材料が残ることもありません。
そのため、債権譲渡登記不要のファクタリング会社を中心に検討する方は多いでしょう。
ただ、債権譲渡登記不要のファクタリングサービスを提供している会社は多いので、その中から自社にとってなるべく有利な形で契約を交わせるところを選ばなければなりません。
登記不要を掲げる業者を選ぶ際には、以下の3つのポイントを確認しましょう。
それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
債権譲渡登記なしを公式サイトで明記しているか
まず確認すべきは、公式サイト上で「債権譲渡登記なし(不要)」と明記しているファクタリング会社かどうか、ということです。
なし、と明記されている会社であれば債権譲渡登記を行うことはもちろんありませんが、中には「要相談」や「柔軟に対応」といった表現に留めている会社もあります。
そういった表現の場合、「初めての利用なので」「金額が高額なので」といった理由で債権譲渡登記が必要と言われても、利用者としては従うしかありません。
解釈を挿し込む余地のない表現を公式サイトで用いている会社であれば、確実に債権譲渡登記なしで利用できるでしょう。
なお、個人事業主は制度上、債権譲渡登記を行うことができないので、必然的に債権譲渡登記なしでの契約になります。
そのため、法人経営者の方でも、「個人事業主やフリーランス対応」を謳っているファクタリング会社を選ぶことで、債権譲渡登記不要で利用できる可能性を高められる場合があります。
登記なしの代わりに手数料が上乗せされていないか
ファクタリング会社にとって債権譲渡登記は、自社のリスクを回避するために重要な手続きです。
その手続きを行わずに契約を結ぶ場合、債権譲渡登記を行わないことによるリスク分がファクタリング手数料に転嫁されているケースがあります。
手数料の内訳を利用者が知ることはできませんが、重要なことは「債権譲渡登記なしで支払う手数料」と「債権譲渡登記ありで支払う手数料+債権譲渡登記にまつわる諸費用」のどちらが高いかをきちんと見極めることです。
たとえば、債権譲渡登記の有無によって費用面で以下のような違いが発生する場合を例として考えてみましょう。
- ケースA:ファクタリング手数料割合9%
- ケースB:ファクタリング手数料割合2%、債権譲渡登記にまつわる諸費用5万円
ファクタリング手数料割合だけを見れば、明らかにケースBがお得です。
ただ、買い取ってもらう売掛金の金額が100万円の場合、ケースAでは100万円×0.09=9万円の費用ですが、ケースBでは100万円×0.02+5万円=7万円の費用に抑えられます。
このように、買い取ってもらう売掛金の金額および債権譲渡登記の有無によるファクタリング手数料割合の違いによっては、債権譲渡登記を行わないことでコストがかさんでしまうような場合もあります。
それぞれのケースにおける費用をきちんと精査したうえで、なるべくコストを抑えられる判断を下しましょう。
登記不要でも契約書に登記留保条項が含まれていないか
原則として登記不要で契約できるファクタリング会社でも、契約書に「登記留保条項」が含まれている場合があります。
登記留保条項がある場合、契約時点では債権譲渡登記は行わないものの、ファクタリング会社が登記を行える権利をいつでも有しています。
登記留保条項が含まれていても、契約後に何の問題もなければ債権譲渡登記が実施されることは基本的にありません。
ただし、売掛金の支払いが遅れたり、売掛先の経営状況に不安ありと判断されたりすると、ファクタリング会社の判断で債権譲渡登記を行われてしまう可能性があります。
そのため、なるべく登記留保条項が含まれない形で契約を交わすのが望ましいです。
もし登記留保条項が含まれる形で契約するのであれば、「どのような条件を満たしたときに登記が実行されるのか」をきちんと確認しておき、回避できるように努めましょう。
債権譲渡登記とは売掛債権の譲渡を公的に証明する制度
ここまで、2社間ファクタリングと3社間ファクタリングのそれぞれにおける債権譲渡登記の扱いや、登記不要の業者を選ぶ際に確認すべきポイントなどについて解説してきました。
しかし、「そもそも債権譲渡登記って具体的にどんな制度だったっけ?」「債権譲渡登記を行うことでどんな効果があるんだっけ?」という部分がまだ少し曖昧な方もいるかもしれません。
こうした基本的な部分の理解が曖昧なままだと、最適なファクタリング会社選びはできませんし、納得したうえで契約を交わすことも難しいでしょう。
そこで、ここであらためて債権譲渡登記という制度の本質についておさらいしておきます。
債権譲渡登記に関してきちんと理解している方は問題ありませんが、理解があやふやな方は自分の中での知識を整理するために活用してください。
債権譲渡登記は法務局に債権の移転事実を記録する法的手続き
債権譲渡登記とは、債権が譲渡されたことを公的に証明するための法的手続きです。
債権は家や自動車などと同じく売買が可能ですが、形あるモノとは異なり、売買(=譲渡)を行ったときに「現在債権を所有しているのは誰か」が分かりにくくなることがあります。
そこで、法務局での手続きによって債権が移転した事実を記録に残すことで、債権の所有者をハッキリさせることができます。
債権譲渡登記は「動産・債権譲渡特例法」という法律に基づいて運用されており、法人のみが利用できる制度である点も、大きな特徴です。
登記を行うことで、債権譲渡の詳細(いつ、どのような債権が、誰から誰に)が記録されるだけでなく、必要に応じて「登記事項証明書」として発行できるようになります。
ファクタリング会社は買い取った売掛金に関して何らかのトラブル(詳しくは後述します)が発生した際に、登記事項証明書をもとにして自社の権利を主張することが可能です。
登記の目的は「対抗要件」を備えて二重譲渡トラブルを防ぐこと
ファクタリング会社が直面する可能性のある、売掛金に関する大きなトラブルのひとつに、「売掛金の二重譲渡」があります。
売掛金の二重譲渡とは、ファクタリング申込者が同一の売掛金を複数のファクタリング会社に買い取ってもらい、資金を二重に得ること、得ようとすることを指します。
万が一そのようなことが起きてしまった場合、それぞれのファクタリング会社は自社こそが売掛金を買い取って権利を持っていることを主張することになりますが、そこに何の根拠もなければ話し合いは進展しません。
しかし、債権譲渡登記を行っておくことで、「対抗要件」を備えることが可能になります。
対抗要件とは、自分の権利を第三者に対して正当に主張するために備えておかなければならない、法律上の要件のことです。
ファクタリングの契約を交わす際に債権譲渡登記を行っておけば、それを拠り所にして「自社こそが債権を所有している」ということを主張できるというわけです。
万が一、契約を交わしたすべてのファクタリング会社が債権譲渡登記を行っていたとしても、優先順位は「先に登記を済ませた側」にあるので、揉めずにトラブルを終息させることができるでしょう。
債権譲渡登記と債権譲渡通知は対抗要件の取得方法が異なる
債権譲渡登記と債権譲渡通知はいずれも、「債権譲渡に関する対抗要件を備える」という目的においては同じですが、取得方法や必要な手続きは両者で異なります。
| 債権譲渡登記 | 債権譲渡通知 | |
| 手続き先 | 法務局 | 売掛先(債務者) |
| 売掛先への連絡 | 不要 | 必要(通知+承諾) |
| 主に使われる形態 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
| 費用 | 登録免許税+司法書士報酬 | 内容証明郵便の送付費用程度 |
| 秘匿性 | 高い(売掛先に知られにくい) | 低い(売掛先に通知が必要) |
ここまで説明してきたように、債権譲渡登記では法務局を介して法的な手続きを行うことで、対抗要件を備えることができます。
売掛先に連絡することなく手続きを終えることができるので、2社間ファクタリングで活用されることが多い方法です。
一方の債権譲渡通知は、譲渡人(ファクタリングの利用主体)が売掛先に「ファクタリング会社に債権を譲渡しました」という通知を行い、それに対して売掛先からの承諾を得ることで、対抗要件を備えることができます。
売掛先に直接コンタクトを取る必要があるので、主に3社間ファクタリングで活用される方法です。
どちらの方法でもファクタリング会社が負うリスクを小さくすることはできますが、ファクタリング利用者にとっては、売掛先への通知の有無が大きな違いになり得るでしょう。
売掛先との関係性やファクタリングを内密に進めたいのかどうかなどを踏まえたうえで、どのような形で契約を交わすかを判断することが重要です。
ファクタリングで債権譲渡登記が必要になる3つのケース

冒頭でも触れたように、ファクタリングでは必ずしも債権譲渡登記が必要なわけではありません。
利用者にとってのメリットを鑑みたうえで、債権譲渡登記不要で利用できるファクタリングサービスが数多くあるのも事実です。
しかしそれでも、契約に際して債権譲渡登記が必ず必要なファクタリング会社はありますし、ケースバイケースで債権譲渡登記を求められるような会社もあります。
ファクタリングで債権譲渡登記が必要になるのは、主に以下のようなケースです。
それぞれのケースについて、詳しく解説します。
初回利用や取引実績がない場合は登記を求められやすい
ファクタリング会社が恐れるのは、買い取った売掛金を回収できないことです。
買い取った売掛金を回収できなければ、その金額はまるまるファクタリング会社が負う損失ということになってしまいます。
これまでに自社を何度か利用したことがある申込者の場合、「何度か利用してもらって資金回収も問題なく終えられている」と判断できますが、初回利用の申込者は「資金を回収できた実績」がありません。
そのため、初回利用で取引実績がない場合に限っては、売掛金の未回収リスクに備えて債権譲渡登記を行うことを、契約の条件とされるケースがあります。
こういった理由で債権譲渡登記を求められる場合、契約後にきちんと入金を行うことで、「資金を回収できた実績のある利用者」という扱いになるため、2回目以降は債権譲渡登記なしで契約できる可能性もあります。
利用者からすれば、債権譲渡登記のためにかかる数万円程度の出費は痛いかもしれませんが、その会社で今後もファクタリングを行いたいと考えているのであれば、必要経費と割り切って支払うのがよいでしょう。
高額な売掛債権を譲渡する場合
高額な売掛債権を買い取ってもらう場合も、債権譲渡登記を求められる可能性があります。
ファクタリング会社は、買取希望として持ち込まれた売掛債権の額に応じた金額を申込者に支払うため、売掛債権が高額であればあるほど、ファクタリング会社が一時的に負担する金額も大きくなります。
万が一売掛債権を回収できなかった場合、金額が小さければファクタリング会社の経営に与える影響はそこまで大きくありませんが、高額な売掛債権だった場合、会社の存続に関わるような危機になりかねません。
そんな「万が一」を避けるためにも、高額な売掛債権を買い取る場合は債権譲渡登記を行うことを条件として設けられることが多いです。
逆にいえば、高額な売掛債権の買取にも関わらず「債権譲渡登記が不要」というファクタリング会社は、その分のリスクをファクタリング手数料などに転嫁していることが多いので、十分注意しましょう。
ファクタリング会社が二重譲渡リスクを回避したい場合
ファクタリング会社が申込者に対して支払った金額を回収できないのは、売掛先が倒産してしまう場合や、申込者が同じ売掛金をほかのファクタリング会社との契約に利用している場合(=二重譲渡)です。
前者に関しては、ファクタリング会社による審査で、経営状況が怪しい売掛先の売掛金を買い取らないようにするなどで対処できます。
一方後者に関しては、自社が該当売掛金を回収する権利を有していることを正当な形で証明できれば、トラブルにならずに済みます。
そのための手続きのひとつがまさに債権譲渡登記なので、二重譲渡リスクの回避に重きを置くファクタリング会社では、債権譲渡登記を求められる可能性が高いです。
また、ファクタリング会社では申込者の信用よりも売掛先の信用を重視して審査を行いますが、売掛先の信用は申し分ないものの、「申込者の資金繰りが逼迫している」と判断されるようなケースもあります。
こういったケースでは、ファクタリング自体は行えるものの、「資金繰りに窮した申込者が売掛金の二重譲渡を行うことを防ぐ」という観点で、債権譲渡登記を求められる可能性があります。
債権譲渡登記を求められた場合に知っておくべき費用

債権譲渡登記不要を希望してファクタリング会社に申し込む場合でも、審査の結果や売掛金の状況次第では、債権譲渡登記を求められる場合もあります。
この場合は、ファクタリング会社からの提案を了承しなければ契約に進めないため、債権譲渡登記を行わなければなりません。
ただし、債権譲渡登記を行うためにはさまざまな費用がかかります。
債権譲渡登記にかかる費用の目安を知っていれば、債権譲渡登記を求められた際に「債権譲渡登記に必要なコスト」を踏まえてトータルのコストを把握し、契約を交わすべきかどうかを判断できます。
しかし、費用目安を把握していなければ、ファクタリング会社から債権譲渡登記を求められた際に一度手続きをストップしてコストを確認しなければならないので、資金調達までに余計な時間がかかってしまうでしょう。
以下では、債権譲渡登記に付随して発生するさまざまな費用について、解説します。
登録免許税(7,500円〜)と司法書士報酬の目安
債権譲渡登記を行うためには、「登録免許税」の支払いが必須です。
登録免許税の金額は債権の個数が5,000件以下なら一律7,500円、債権の個数が5,000件超なら一律15,000円です。
よほどまとまった数の債権に関して登記を行うのでなければ、登録免許税に関しては7,500円と考えておいて問題ないでしょう。
また、債権譲渡登記を行うためには専門的な知識が必要になるので、司法書士に手続きを依頼するケースが大半です。
司法書士に依頼する場合は司法書士に支払う報酬も発生し、その金額の目安は「数万円~10万円程度」です。
つまり、「司法書士に依頼して債権譲渡登記を行う」場合、トータルで10万円近い費用が発生することになります。
この金額は支払うというよりも、ファクタリング会社から申込者に対して入金される金額から差し引かれる形が取られることが多いです。
口座に入金される金額が「思っていたよりも少なかった」とならないように、見積もりの段階で実際に調達できる金額がいくらになるかをきちんと確認しておきましょう。
抹消登記にも費用が発生する点に注意
債権譲渡登記は登記を行うときだけでなく、登記された記録を抹消する「抹消登記」の際にも費用が発生します。
抹消登記は、売掛先からの入金によってファクタリングの手続きがすべて完了した後に行われるものですが、資金調達はすでに完了しているので、抹消登記をしてもしなくても「今回の資金調達」においてはとくに問題ありません。
ただ、債権譲渡登記をそのままにしておくと、今後あらためてファクタリングを利用する場合や金融機関からの融資を受けようとする場合に、悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、ファクタリングが完了したら債権譲渡登記は速やかに抹消するのが望ましいです。
抹消時にかかる費用は登録免許税(1件の申請につき1,000円)と、司法書士への依頼報酬(1万円前後)です。
登記にかかる費用ほど金額が大きいわけではありませんが、ファクタリングが終わった後にまだ費用が発生することは、念頭に置いておくべきでしょう。
また、抹消登記をファクタリング会社が主導して行ってくれるのか、利用者自身で手続きを進めなければならないのかはファクタリング会社によって異なるので、その点も事前に確認しておくのが賢明です。
債権譲渡登記のメリットは手数料が下がる可能性があること

ここまでの内容を踏まえて、「債権譲渡登記の手続きは利用者側にとってメリットがほぼないのでは…?」と感じている方もいるかもしれません。
しかし決してそんなことはなく、債権譲渡登記を行うことで利用者が享受できるメリットはあります。
それは、「ファクタリング手数料が下がる可能性がある」ということです。
ファクタリング手数料は申込者が調達できる金額に直結するので、このメリットは無視できないでしょう。
債権譲渡登記を行うことでファクタリング手数料が下がる可能性について、以下で詳しく解説します。
ファクタリング会社のリスクが下がり手数料に反映される
ファクタリングを行う場合、それぞれの会社で設定されているファクタリング手数料割合と買い取ってもらう売掛金の金額に応じて、手数料を支払わなければなりません。
手数料割合はファクタリング会社によって異なりますが、一般的に「ファクタリング会社にとってリスクの高い契約」をする場合は、手数料割合が高めになる傾向にあります。
「リスクが高い=売掛金を回収できない可能性がある」ということですが、売掛金の未回収リスクを手数料割合に転嫁することでバランスを取っているからです。
債権譲渡登記を行えば対抗要件を備えることができるので、売掛金の未回収リスクを大幅に小さくすることができます。
ファクタリング会社にとってリスクの少ない形で契約できることから、債権譲渡登記を求められる契約では、手数料割合の設定が低くなる可能性が高いです。
手数料割合の低さは調達できる資金の金額に直結するので、なるべく多くの資金調達を行いたい場合は、債権譲渡登記による手数料割合の低下は大きなメリットといえるでしょう。
継続利用を前提とするなら登記のコスト回収は可能
債権譲渡登記を行うことで発生する10万円程度の費用は、単発の資金調達という観点から考えると、重いコストといえるかもしれません。
しかし、今回利用するファクタリング会社を今後も継続して利用する前提なのであれば、債権譲渡登記に付随するコストは十分回収可能です。
債権譲渡登記は一度完了すれば、一定期間内もしくは一定の限度額内の取引に対して効力を維持できる契約として運用されることが多いです。
債権譲渡登記を行えば、ファクタリング会社が負わなければならないリスクは大幅に小さくなるので、ファクタリングの手数料割合を低めに設定してもらえるでしょう。
イニシャルコストとして少し多めの金額を支払うことになったとしても、低めの手数料割合で繰り返しファクタリングを実施できることを考えれば、十分元は取れるはずです。
なお、この考え方はあくまでも「ファクタリングによる資金調達を継続して行う」という場合にしか当てはまらないということは、念頭に置いておきましょう。
ファクタリングの債権譲渡登記で注意すべき3つのデメリット

債権譲渡登記はファクタリング会社が負うリスクを軽くするために重要な手続きですし、利用者としてもファクタリング手数料が少なくなる、という恩恵に預かれる場合があります。
とはいえ、できれば債権譲渡登記は避けたいと考えている申込者の方は、決して少なくはないでしょう。
債権譲渡登記で注意すべきデメリットとしては、主に以下のようなことが挙げられます。
それぞれのデメリットについて、詳しく解説します。
登記費用が利用者の実質負担になるケースが多い
既に触れましたが、債権譲渡登記を行うためには登録免許税および司法書士に対する報酬として、合計10万円程度のコストがかかります。
これらの費用に関してはファクタリング会社が支払っても利用者が支払っても問題ありませんが、基本的に利用者負担となるケースが大半です。
実務上ではこれらの費用を直接支払う手間が発生するわけではありませんが、ファクタリングの結果として調達できる資金から、登記にかかる諸費用が差し引かれることになるので、調達資金が少し目減りすることになります。
数百万円や数千万円程度を調達するのであれば、10万円程度は必要経費と割り切れるかもしれません。
しかし、数十万円程度の資金調達で10万円がコストとしてかかる場合、調達コストが割高であることは無視できないでしょう。
債権譲渡登記を行うことで、ファクタリング手数料率を低く抑えてもらえることもあります。
そういったことを踏まえたうえで、トータルでどれくらいのコストがかかるかをしっかり精査して、債権譲渡登記が必要なファクタリング会社を利用するべきかどうかを判断しましょう。
取引先に債権譲渡を知られて信用不安につながるリスクがある
2社間ファクタリングは、申込者とファクタリング会社だけで契約を完結させられるので、取引先に債権譲渡を行ったことを知られずに資金調達できるのが大きなメリットです。
しかし、債権譲渡登記を行ってしまうと、債権譲渡の秘匿性が完璧なものではなくなってしまいます。
債権譲渡登記を行ったとしても、そのことに関して取引先に連絡がいくわけではなく、手数料を支払って「概要記録事項証明書」などを取得しなければ、債権譲渡の事実に取引先が気付くことはありません。
とはいえ、取引先が与信管理を厳格に行うような企業だった場合、自社と取引をしている企業の登記を定期的に確認する可能性もあるでしょう。
その際に債権譲渡の記録が確認されれば、「資金繰りがうまくいっていないのかもしれない」「事業の先行きが怪しいのかもしれない」などの信用不安を抱かせることになる可能性は、否定できません。
取引先の行動に関してはコントロールできない以上、登記の記録が残されている間はこういったリスクが常にあるということは、考慮する必要があります。
登記の抹消手続きを怠ると将来の融資審査に影響する
売掛先からの売掛金の入金が完了し、ファクタリングによる資金調達の一連の手続きが終わったとしても、債権譲渡登記は自動的に抹消されるわけではありません。
登記を消すためには抹消登記が必要ですが、抹消登記を行うためにも1万円程度の費用が発生します。
「資金調達は無事終わったのだから無駄な費用を支払う必要はない」と考えて、抹消登記を行わせずに済ませようとする方もいるかもしれませんが、それは絶対に避けなければなりません。
金融機関は企業から融資の申し込みを受けた場合、融資の可否を判断するために必ずその企業の登記を確認します。
その際、債権譲渡登記の記録があると、金融機関は「今まさにファクタリングで資金調達を行っている」または「過去に資金繰りが怪しくなり売掛金の売却で乗り切ったことがある」と判断するでしょう。
いずれにしても、企業の資金繰りに関して金融機関がよくない印象を持つことは避けられず、融資審査において大きなマイナス要因となります。
抹消登記に必要な1万円程度の費用を惜しんだばかりに、金融機関から融資を受けられないようなことになってしまえば、本末転倒です。
ファクタリングによる資金調達が完了した際は、必ず抹消登記の手続きまで行いましょう。
ファクタリングの債権譲渡登記に関するよくある質問
ここまで、ファクタリングで債権譲渡登記が必要になるケースや、債権譲渡登記によるメリット・デメリットなどについて解説してきました。
まだまだ気になることや不安なことがある方向けに、ファクタリングの債権譲渡登記に関するよくある質問に対して、Q&A形式で回答していきます。
ファクタリングの債権譲渡登記に関する疑問を解消するために、ぜひ参考にしてください。
個人事業主でも債権譲渡登記はできますか?
個人事業主では、債権譲渡登記はできません。
債権譲渡登記は「動産・債権譲渡特例法」という法律に基づいて運用されていますが、登記が可能な対象は法人に限定されているからです。
そのため、個人事業主がファクタリングを行う場合は、必然的に「債権譲渡登記なし」の形になります。
「債権譲渡登記ができない個人事業主はファクタリング会社にとってリスクが大きいため、個人事業主はファクタリングを利用できないのでは?」と心配する方もいるかもしれません。
確かに、ファクタリング会社の中には利用者を法人に限定して、個人事業主やフリーランスでは利用できないところもあります。
しかし、2社間ファクタリングではなく3社間ファクタリングであれば対抗要件を備えることはできますし、債権譲渡登記なしでも契約できるファクタリング会社も数多く存在します。
そのため、個人事業主の方でも会社やサービスを選べば、ファクタリングによる資金調達は十分可能です。
債権譲渡登記をすると取引先にバレますか?
債権譲渡登記を行ったとしても、それが無条件で取引先にバレることはありません。
債権譲渡登記を行うと、企業の登記簿にその記録が残されますが、そのことに関して法務局から取引先に通知がいくようなことはないからです。
ただし、企業の登記簿は公的な情報なので、手数料さえ支払えば誰でも閲覧が可能です。
そのため、取引先が登記簿を確認すれば、債権譲渡を行ったことはひと目で分かります。
債権譲渡の事実をどう判断するかは取引先次第で、「資金調達の一環であり問題ない」と考えるケースもあれば、「資金繰りに窮しており取引を継続するのは不安」と考えるケースもあるでしょう。
取引先との関係性悪化を懸念するのであれば、債権譲渡登記が必要なファクタリング会社を避けるか、ファクタリングによる資金調達が終わったらすぐに抹消登記を行うよう心がけましょう。
登記なしのファクタリングは違法ですか?
登記なしのファクタリングは、違法ではありません。
債権譲渡登記はあくまでも、ファクタリング会社が対抗要件を備えることを目的として行うものであり、ファクタリングの契約において必須の手続きではありません。
実際に、債権譲渡登記なしで利用できる真っ当なファクタリング会社は数多くあります。
そのため、「債権譲渡登記なしで手続き可能!」という謳い文句を掲げているファクタリング会社を見つけたとしても、不審がる必要はありません。
昨今はスピーディーに資金調達できる手段に対するニーズが高まってきていますが、債権譲渡登記を行うとどうしても手続きに数日程度はかかってしまいます。
「債権譲渡登記を行わないことによる迅速な資金調達」を、他社に対する差別化ポイントとして掲げるファクタリング会社も少なくないというわけです。
債権譲渡登記ありと債権譲渡登記なし、どちらにもメリット・デメリットがあるので、それらを比較検討したうえで、自社にとってより望ましいほうを利用しましょう。
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