ファクタリングの償還請求権とは?なしを選ぶべき理由と契約時の注意点
ファクタリングによる資金調達を行う場合、まずは利用するファクタリング会社やサービスを決めなければなりません。
ファクタリング会社、サービスによって契約内容に違いがあるため、それぞれの特徴を把握したうえで比較しなければなりませんが、契約時にチェックすべき重要な項目のひとつに「償還請求権」の有無があります。
償還請求権の有無によって、売掛先が倒産してしまった場合の自社への影響が大きく異なるため、調達した資金を守るためにも必ず確認しておく必要があります。
本記事では、ファクタリングにおける償還請求権の概要や、償還請求権の有無によるメリット・デメリットなどを解説します。
これからファクタリングを行おうと考えている方や、契約時に注意すべきポイントを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
償還請求権とは?ファクタリングとの関係を基本から解説
ファクタリング会社やサービスを比較する場合、必ず目にすることになるのが「償還請求権」という言葉です。
あまり耳馴染みのない言葉だと思いますが、ファクタリングによる資金調達を検討しているのであれば、必ず概要を把握しておかなければなりません。
償還請求権に関する理解が曖昧なままファクタリングの契約を結んでしまうと、後に会社が傾きかねない大きなピンチを招く危険性があります。
- 償還請求権は民法第459条に基づく費用返還を求める権利
- ファクタリングではリコースとノンリコースで償還請求権の有無が異なる
- 債権譲渡と債権担保の違いがノンリコースの根拠になる
- 手形取引は手形法、ファクタリングは民法が適用される
償還請求権の法的な定義から、「リコース」と「ノンリコース」の違いなどについて、以下で詳しく解説します。
償還請求権は民法第459条に基づく費用返還を求める権利
償還請求権は、売掛先が倒産などで売掛金の回収ができなくなった際に、売掛金の元の債権者に遡って支払った費用の返還を求めることができる権利です。
民法第459条で定められている、「求償権(他人のために債務を弁済した場合に、元の債務者に対して費用の返還を求めることができる権利)」に近い概念といえます。
償還請求権が存在している場合、売掛金をファクタリング会社に売却した後でも、「売掛先が売掛金を支払わなければその代わりに自社が支払わなければならない」というリスクが残り続けることになります。
ファクタリングは資金調達の一種であると同時に、売掛先が倒産してしまう可能性に対するリスクヘッジとしても活用できる方法です。
しかし、償還請求権のある契約においては、ファクタリングがリスクヘッジとして機能しないことになります。
そのため、償還請求権ありの契約なのか償還請求権なしの契約なのかを慎重に確認したうえで、契約すべきかどうかを判断しなければなりません。
ファクタリングではリコースとノンリコースで償還請求権の有無が異なる
ファクタリングの契約を分類する軸はいろいろとありますが、その中のひとつに「リコースかノンリコースか」という軸があります。
「償還請求権のことを把握するので頭がいっぱいなのに、また新しい概念を持ち出されても理解が追い付かない…」と思われる方もいるかもしれませんが、実はリコースとノンリコースに関してはそこまで難しく考える必要はありません。
というのも、リコースは英語で「recourse」と表現し、「償還請求(権)」を意味する単語だからです。
つまりリコースとノンリコースは、それぞれ「償還請求権あり」と「償還請求権なし」という概念を英語で表現しているだけです。
| 比較項目 | リコース(償還請求権あり) | ノンリコース(償還請求権なし) |
|---|---|---|
| 意味 | 売掛先が倒産した場合、利用者に返還義務が発生する | 売掛先が倒産しても、利用者に返還義務は発生しない |
| 法的性質 | 実質的に「融資」と判断される | 「債権の売買」として扱われる |
| 売掛先の倒産リスク | 利用者が負う | ファクタリング会社が負う |
| 会計処理 | 負債として計上 | 資産の売却として処理 |
リコース契約では、ファクタリング会社が買い取った売掛金が回収不能に陥った場合、ファクタリング会社は申込者に対して支払った金額の返還を求めることが可能です。
一方ノンリコース契約では、ファクタリング会社が売掛金を回収できなかったとしても、申込者が調達した資金に対して返還請求を行われることはありません。
そのため、基本的にはノンリコース(償還請求権なし)の形で契約できるファクタリング会社を選ぶのがおすすめです。
債権譲渡と債権担保の違いがノンリコースの根拠になる
債権に関しては、ファクタリングのように譲渡する場合もあれば、金融機関から融資を受けるときのように担保として利用する場合もあります。
この債権の扱い方の違いが、償還請求権について考えるためにはとても重要です。
| 比較項目 | 債権譲渡(ファクタリング) | 債権担保(ABL融資など) |
|---|---|---|
| 債権の所有権 | 買い手(ファクタリング会社)に完全移転 | 利用者に残ったまま |
| リスクの所在 | 買い手が引き受ける | 利用者が負い続ける |
| 売掛先倒産時 | 利用者に返済義務なし(ノンリコースの場合) | 別の担保の用意または返済が必要 |
| 法的な位置付け | 売買契約 | 担保付き融資契約 |
ファクタリングのように債権を「譲渡」する場合、債権の所有権は申込者からファクタリング会社に完全に移ることになります。
債権を完全に買い取ったのであれば、その後に発生するリスクも買い手側が引き受けるべきというのが、売買における基本原則であり、この考え方がファクタリングにおける「ノンリコース」の根拠になっているといえるでしょう。
一方、債権を「担保」として利用する場合、申込者は融資を受けるための保証として債権を利用しているに過ぎず、その所有権は依然として申込者にあります。
そのため、債権に保証としての価値がなくなってしまえば、申込者は別の形で保証を用意するか、お金を返済するかしなければなりません。
債権をどのように取り扱っているかを意識することは、ファクタリングという契約を適切に理解するために重要なポイントです。
手形取引は手形法、ファクタリングは民法が適用される
ファクタリングは、日本古来からの商習慣のひとつである手形取引における、「手形割引(割引手形)」とよく似ています。
ファクタリングでは売掛金、手形割引では手形と買い取ってもらう対象こそ異なるものの、いずれも入金前の売掛債権を買い取ってもらうことで資金調達を行う方法、という観点においては同じです。
しかし、適用される法律において両者には大きな違いがあり、手形取引には手形法、ファクタリングには民法が適用されます。
手形法においては、手形の不渡り(支払い期日までに手形の支払いが行われないこと)が発生した場合、裏書人(手形の譲渡人)は手形を所持している人に対して支払い義務が生じると定められています。
一方ファクタリングは、資金調達の仕組みこそ手形割引と同じですが、適用されるのが民法なので、契約をノンリコース契約で行っておけば、売掛先が倒産してしまった場合でも支払い義務は生じません。
手形割引をベースとしてファクタリングを理解していると、この点において大きな齟齬が生じることになるので、とくに注意が必要です。
償還請求権が関わる金融取引の種類と手形割引との比較
償還請求権が関わるのはファクタリングに限ったことではなく、手形割引やABL融資(売掛債権担保融資)でも必要になる考え方です。
これらの資金調達方法は、「今後入ってくるはずのお金を先に現金化する」という観点では同じですが、売掛先が支払い不能に陥ってしまった場合の責任やリスクの所在は、大きく異なります。
混同されやすいこれらの手法ですが、把握しておくべき違いをきちんと理解しておかなければ、自社の経営に大きな影響を及ぼしかねません。
償還請求権が関わる金融取引について、さまざまな角度から解説します。
手形割引の償還請求権と不渡り時のプロセス
手形割引における償還請求権は、「遡及権」と呼ばれます。
遡及権が存在することによって、手形割引によって資金調達を行う場合、万が一手形の不渡りが発生したときには裏書人が責任をもって手形を買い戻さなければなりません。
不渡りが発生した際のプロセスとしては、まず金融機関が裏書人に対して償還(買い戻し)を請求します。
裏書人はこの請求に対して拒否する権利を持たないので、速やかに手形の全額を返済しなければなりません。
返済できなければ信用情報に大きな傷が付きますし、最悪の場合は金融機関との取引停止処分に追い込まれる可能性もあります。
手形割引は調達コストが低いのがメリットではありますが、ファクタリングとは異なり、「売掛先の倒産リスク」を最後まで背負い続けなければならないというデメリットも抱えた取引なのです。
ファクタリングと手形割引の比較表
ファクタリングと手形割引は、いずれも「入金前の売掛債権を買い取ってもらうことで資金調達を行う方法」ですが、適用される法律やリスクの所在という観点において違いがあります。
ファクタリングと手形割引の主な違いを、以下に表でまとめました。
| ファクタリング | 手形割引 | |
| 適用される法律 | 民法 | 手形法 |
| 償還請求権 | 原則なし | あり(遡及権) |
| 売掛先の倒産リスクの負担者 | ファクタリング会社 | 裏書人(利用者) |
| 法的な性質 | 資産の売却 | 債権を担保とした短期融資 |
手形割引は手形が決済されるまで裏書人に潜在的な負担が残り続けますが、ファクタリングはノンリコース契約であれば、契約が完了した時点で売掛先の倒産リスクを自社から切り離すことが可能です。
この点は、ファクタリングを利用する大きなメリットのひとつといえるでしょう。
ABL融資は償還義務あり・保証契約の求償権とは法的性質が異なる
売掛金を活用した資金調達の方法としては、ファクタリングのほかにABL融資があります。
ABL融資は文字通り「融資」なので、「債権譲渡と債権担保の違い」でも触れたように、利用者に償還義務が発生します。
そのため、売掛先が倒産して売掛金に担保としての価値がなくなってしまった場合、別の形で担保を用意するか、お金を返済するかしなければなりません。
この点が、同じ売掛金を活用する方法でも、ファクタリングとABL融資の大きな違いとなる点です。
また、混同されやすいですが、保証契約の求償権とは法的性質が異なることにも注意しておかなければなりません。
保証契約の求償権は、他人の借金を肩代わりした人が、「あなたの代わりに支払ったから返済して」ということを肩代わりした相手に請求できる権利です。
これに対して償還請求権は、譲渡された債権そのものの価値が失われた場合にどのように清算するかを定めたルールです。
権利が対象としているのが、債務者なのか債権なのかを正確に認識することで、それぞれの違いも把握しやすくなるでしょう。
財務状況と取引先信用力による使い分けの判断基準
資金調達のためにどのような方法を選択するかは、自社の財務状況および取引先の信用力に応じて考える必要があります。
取引先の信用力に若干の不安があるのであれば、多少手数料が高くなったとしても、契約完了と同時に取引先の倒産リスクを自社から切り離すことができる、ノンリコースのファクタリングがおすすめです。
一方で、取引先が上場企業や公的機関などで倒産リスクが極めて低い、または自社の財務状況に多少なりとも余裕がある場合は、調達コストを抑えられる手形割引やABL融資を利用するのがよいでしょう。
コストも低くリスクも抑えられるような資金調達方法があればよいのですが、現実はそこまで甘くはありません。
コストを優先してリスクを自社で抱えるか、コストを支払ってでもリスクを外部へ切り離すか、どちらを重視するのかを自社の置かれている状況に応じて適切に判断しましょう。
償還請求権ありのファクタリングの危険性と悪質業者の見分け方
ファクタリングという資金調達方法の特徴を考えると、償還請求権は「なし」になるのが自然と考える方も多いでしょう。
償還請求権ありの場合、「売掛先の倒産リスクの切り離し」というファクタリングの大きなメリットのひとつを享受できないことになってしまいます。
しかし、ファクタリング業者を比較検討していると、中には「償還請求権あり」の形で契約を行っているところもあります。
現実問題として、そういった業者は悪質業者である可能性が極めて高いので、利用しないように注意しなければなりません。
償還請求権ありのファクタリングの危険性と悪質業者の見分け方について、以下で詳しく解説します。
償還請求権ありは融資扱いになる法的根拠
ファクタリングの契約は、償還請求権ありかなしかで利用者が享受できるメリットに大きな違いが生じますが、償還請求権ありの契約は、法的な視点から見ると「融資」と捉えられるのが自然です。
最高裁判所の判例や金融庁の指針によれば、債権の譲渡契約であっても、譲受人が譲渡人に対して売掛金の回収不能リスクを転嫁できる条項(償還請求権)がある場合、それは事実上の「金銭の貸借」に該当すると判断されます。
民法の原則では、売買契約において商品は引き渡した時点で所有権とリスクが移転しますが、償還請求権ありの契約ではリスクが移転していないため、法的には「債権を担保にした融資」と解釈されるというわけです。
業者が「この契約はファクタリング!」と謳っていても、契約内容を確認した際に償還請求権があると、ファクタリングではなく融資に該当することになります。
契約の実態は見出しや文言ではなく、償還請求権の有無によって判断されるという考え方はとても重要です。
悪質業者が使う償還請求権ありの手口と実態
悪質業者は、「ファクタリングと見せかけた実質的な融資」の契約を利用者に結ばせようとしてきます。
悪質業者は表向きには「審査の甘いファクタリング」ということを謳いながら利用者を集め、契約書の中に巧妙に償還請求権を紛れ込ませます。
ファクタリングでの資金調達を検討している方の中には、金融機関から融資を受けるのは厳しい、なるべく早く資金調達を行いたい、といった事情を抱えている方も少なくありません。
そういった利用者を言葉巧みに騙しながら契約を結ばせ、万が一売掛先が倒産した場合には償還請求権を掲げて利用者に支払いを迫る、というわけです。
また、一般的にファクタリングの手数料割合の相場は、2社間ファクタリングで10%~20%程度です。
悪質業者はファクタリングの手数料割合に関しても一般的な相場よりも高めな、30%~50%に設定しているケースが多いので、注意しなければなりません。
相場から大きく乖離した手数料割合だけに、「わざわざこんなところを利用する人はいない」と思われるかもしれませんが、どうしても緊急で資金が必要という悩みを抱えていると、正常な判断ができない場合もあります。
どれだけ困っていても「償還請求権あり」「手数料割合が相場よりかなり高い」というファクタリング会社は、絶対に利用しないようにしましょう。
安全なファクタリング会社を見分ける3つのチェック項目
悪質なファクタリング業者と契約してしまうと、売掛金を買い取ってもらった売掛先の倒産というひとつの事象だけで、自社の経営が大きく傾いてしまう可能性も否定できません。
安全なファクタリング会社と悪質業者を見分けるためには、以下に挙げる点をチェックしましょう。
- ノンリコース(償還請求権なし)ということが契約書に明記されているか
-
手数料割合が相場よりも高めではないか
-
業者の公式サイトに所在地や代表者名などがきちんと記されているか(そもそも公式サイトがあるか)
1つ目と2つ目のポイントは「悪質業者が使う償還請求権ありの手口と実態」で説明したとおりで、リコース契約で手数料割合が高めの業者は、十中八九悪質業者なので近寄らないようにしましょう。
3つ目に関しては、ファクタリング会社に限ったことではありませんが、悪質な業者は自社に関する詳細な情報を開示したがらない傾向にあります。
公式サイトを見てもイマイチ情報が分からないと感じた場合は、その業者は利用しないようにするのが賢明です。
また、信頼性の担保という観点において、安全なファクタリング会社は基本的に公式サイトを設けています。
SNSなどで目にしたファクタリング会社の詳細な情報を知りたい、と思って公式サイトを探してみても見つからない場合、その会社は悪質業者の可能性が高いので利用は避けましょう。
被害に遭った場合の相談窓口と対処法
償還請求権ありの契約を悪用した業者から不当な請求や強引な取り立てを受けた場合は、自分だけで対処しようとせずに、速やかに公的な窓口に相談してください。
相談先としてまず頼るべきなのは、弁護士や司法書士です。
弁護士や司法書士の中には、ファクタリングによる被害や違法金融業者対策に精通している方もいます。
そういった方に依頼すれば、業者との交渉を代行し、不当な契約の無効化や取り立ての中止を即座に働きかけてくれるでしょう。
また、金融庁の「多重債務相談窓口」や国民生活センターなども、相談先の候補として考えられます。
こういった窓口や機関には悪質業者のリストがあり、過去のトラブル事例も蓄積されているので、対処法に関して具体的なアドバイスを受けることが可能です。
繰り返しになりますが、悪質業者の被害にあった場合は自分だけで抱え込まずに、信頼できる相談先に速やかに相談するようにしましょう。
ファクタリングの償還請求権有無のメリット・デメリット比較
償還請求権に関して詳しく知れば知るほど、「償還請求権ありを選ぶメリットはどこにもないのでは…?」と考えるようになるかもしれません。
しかし、償還請求権ありとなしはそれぞれにメリット・デメリットがあるので、自社の状況に応じて適したほうを選ぶことが重要です。
- 償還請求権ありは手数料が安いが回収不能リスクを自社で負う
- 償還請求権なしはリスク移転できるが手数料が高くなる
- 手数料・スピード・リスクの総合比較表
- 売掛先の信用力が高いならあり・倒産リスクがあるならなしを選ぶ
償還請求権ありとなし、それぞれの契約におけるメリット・デメリットを比較しながら解説します。
償還請求権ありは手数料が安いが回収不能リスクを自社で負う
償還請求権ありの最大のメリットは、手数料を安く抑えられるケースが多いことです。
償還請求権ありだと、万が一売掛金を買い取った売掛先が倒産しても、申込者に対して支払った金額の返還を求めることができるので、ファクタリング会社が負うリスクは小さくなります。
ファクタリングの手数料割合は、ファクタリング会社のリスクが小さくなるほど低めに設定される傾向にあるため、償還請求権ありの契約では支払う手数料を抑えやすい、という仕組みです。
しかしその一方で、償還請求権ありの契約では売掛先が倒産した場合の売掛金回収不能リスクを、自社から切り離すことはできません。
契約が完了して資金調達が終われば、売掛先が倒産してしまっても自社がダメージを負うことがない、というファクタリングならではのメリットを享受できないのは、償還請求権ありの契約の大きなデメリットといえるでしょう。
償還請求権なしはリスク移転できるが手数料が高くなる
償還請求権なしのメリットはもちろん、売掛先の倒産などによる売掛金回収不能というリスクを、自社から切り離せることです。
売掛金という形である限り、実際に売掛先から支払いが行われるまでは自社で自由に使える資金とはなりませんし、売掛先の経営に不安があるような場合、未来に入金されるはずのお金が本当に入金されるかも分かりません。
償還請求権なしの契約でファクタリング会社に売掛金を買い取ってもらうことで、その後売掛先の経営がどうなっても、調達できた資金を返還する義務は一切なくなります。
ただし、売掛先の倒産リスクをファクタリング会社が負わなければならない以上、償還請求権なしの契約ではファクタリングの手数料割合が少し高めに設定される傾向にあります。
ファクタリングの手数料割合は調達できる資金に直接的に影響するため、償還請求権なしの契約のほうが償還請求権ありの契約よりも、口座に入金される金額は少なくなるでしょう。
売掛金をできるだけ目減りさせることなく資金調達したい場合は、この点にとくに注意しておかなければなりません。
手数料・スピード・リスクの総合比較表
ファクタリング会社やサービスを比較するにあたって、主な比較ポイントとなるのは手数料・資金調達にかかるスピード・自社が負うリスクなどでしょう。
それらのポイントを、償還請求権ありとなしで比較してまとめました。
| 償還請求権あり | 償還請求権なし | |
| 手数料割合 | 比較的低め(1%~5%程度) | 比較的高め(10%~20%程度) |
| 資金調達にかかるスピード | 比較的遅め(数日~) | 比較的早め(即日~) |
| 自社が負うリスク | 高い(売掛先の倒産リスクあり) | 低い(売掛先の倒産リスクなし) |
償還請求権ありは「調達コストを抑えられるもののリスクあり」、償還請求権なしは「リスクを抑えられるものの調達コストが高め」ということが、この表からも分かります。
償還請求権ありと償還請求権なしのどちらがおすすめかは、置かれている状況によって変わりますので、自社の優先事項を踏まえたうえで判断しましょう。
売掛先の信用力が高いならあり・倒産リスクがあるならなしを選ぶ
償還請求権の有無が影響するのは、「売掛金を買い取ってもらった売掛先が倒産してしまうなど、売掛金が正常に支払われない場合」です。
つまり、売掛先が上場企業や公的機関などで倒産リスクが極めて低い場合、償還請求権ありのデメリットはほぼ存在しないことになります。
そのため、信用力の高い売掛先の売掛金を買い取ってもらうのであれば、償還請求権ありの契約を選ぶことで、「手数料の低さ」というメリットをほぼノーリスクで享受することが可能です。
一方、売掛先の信用力に少し怪しい点があり、売掛金を支払ってもらえない可能性も考えられるような場合は、償還請求権なしの契約を選びましょう。
償還請求権ありの契約よりも手数料は多少高くなるかもしれませんが、売掛先の倒産リスクを自社から切り離すことで、売掛金を入金してもらえない、調達した資金を返還しなければならない、といったことはなくなります。
ファクタリングが「売掛金を買い取ってもらうことで資金調達を行う方法」である以上、売掛先の信用力に応じて利用するサービスの特徴を選ぶという考え方は、とても重要です。
償還請求権なしファクタリングを有利に進める会社選びと交渉術
償還請求権なしのファクタリングは償還請求権ありのファクタリングと比べると、売掛先の倒産リスクを自社から切り離せるという観点において、利用者にとって有利な条件で契約できます。
そのため、償還請求権なしのファクタリングでは、ファクタリング会社の審査が厳しめに行われる傾向にあります。
とはいえ、申込者側で事前準備をしっかり行ったうえで売却する売掛金をきちんと選ぶことで、償還請求権なしファクタリングの審査に通過することは十分可能です。
- 信用力の高い売掛債権を選んで手数料を下げる方法
- 必要書類を完璧に揃えて審査通過率を上げる
- 2社間は10〜20%・3社間は1〜9%が手数料の適正相場
- 運営実績3年以上・契約条件の全額開示がある会社を選ぶ
償還請求権なしファクタリングに申し込む前の注意点などを、以下で詳しく解説します。
信用力の高い売掛債権を選んで手数料を下げる方法
ファクタリングは売掛金を買い取ってもらうことで資金調達を行う方法なので、ファクタリング会社にとって重要なのは、申込者の信用力よりも売掛先の信用力です。
ファクタリング会社は、買い取った売掛金に関するリスクをすべて背負うことになるので、なるべく信用力の高い売掛金を買い取りたいと考えます。
そのため、信用力の高い売掛金と信用力の低い売掛金を比較する場合、前者のほうが設定される手数料割合が低くなるのが一般的です。
売却できる売掛金の候補がいくつかある場合は、その中でもっとも信用力の高い売掛先(上場企業や公的機関など)の売掛金を選ぶことで、審査に通過しやすくなりますし、設定される手数料割合も低めにしてもらいやすくなるでしょう。
また、信用力を判断する場合は「その売掛先と継続的な取引があるかどうか」も重要なポイントです。
売掛先自体の信用力はもちろん大事ですが、その売掛先が申込者に対してきちんと売掛金を支払ってくれそうかどうかは、また別の問題だからです。
継続的な取引を行っている売掛先と最近取引を始めたばかりの売掛先がある場合、前者の売掛金でファクタリングに申し込むほうが、よい条件で審査に通過できる可能性は高いでしょう。
必要書類を完璧に揃えて審査通過率を上げる
ファクタリングの審査では、請求書・入出金明細・代表者の本人確認書類などの提出が求められます。
これらを提出する際に不備があったり、時間がかかったりすると、「書類の管理が杜撰な会社」と思われる可能性があります。
もちろん、そう思われただけで審査落ちになるわけではありませんが、ファクタリング会社の心証を悪くすることはできれば避けたいところです。
申し込み前にこれらの書類を完璧な状態で揃えておき、求められたらスピーディーに提出することで、ファクタリング会社に「信用できる申込者」と捉えてもらいやすくなります。
また、提出が必須ではない場合でも、売掛先と継続的に取引を行っていることの証拠となる書類(メールやLINEのスクリーンショット画面など)も準備しておくとよいでしょう。
ファクタリング会社が判断するための材料を適切に準備できるという点は好印象につながるので、審査通過率アップに寄与するかもしれません。
2社間は10〜20%・3社間は1〜9%が手数料の適正相場
安心して申し込める会社を選ぶ際の判断基準のひとつに、ファクタリング手数料割合があります。
一般的に、2社間ファクタリングでの手数料割合の相場は10%~20%、3社間ファクタリングでの相場は1%~9%程度です。
これらを大きく上回るような手数料割合を設定している業者は、悪質業者の可能性が高いので利用しないようにしましょう。
また、手数料割合が低いほど調達できる資金の金額は大きくなるので、設定されている手数料割合が低いことは利用者にとってプラスに働きます。
ただ、相場よりも明らかに低い手数料割合(2社間ファクタリングで1%や3%など)を設定している業者は、少し疑わなければならないこともあります。
| 比較項目 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
|---|---|---|
| 手数料の相場 | 10%~20% | 1%~9% |
| 売掛先への通知 | なし | あり(売掛先の承諾が必要) |
| 資金調達スピード | 早い(最短即日) | やや遅い(数日~) |
| 審査の通りやすさ | やや厳しめ | 通りやすい傾向 |
低すぎる手数料割合では、ファクタリングの実施に伴うリスクを吸収しきれないため、そういった業者ではファクタリング手数料以外に振込手数料や諸費用などという名目で費用が発生するケースが多いからです。
なるべく手数料が低いところを選ぶという意識は重要ですが、極端に低い手数料割合を設定している業者に関しては、ファクタリング手数料以外にどのような費用が発生するのかを確認して、全体的な費用を把握することを心がけましょう。
運営実績3年以上・契約条件の全額開示がある会社を選ぶ
ファクタリング会社自体の信用力を見極めるためには、「運営実績」に着目するのがおすすめです。
ファクタリング業界は参入障壁が比較的低いため、新興の業者が数多く参入してきますが、業界の中で生き残り続けられるのは一定の資本力と適正なリスク管理能力を備えている業者だけです。
目安として3年以上の運営実績があれば、安心して申し込めるファクタリング会社だと判断してよいでしょう。
また、契約時に契約条件をすべて開示してくれる会社であるかどうかも、重要なポイントです。
ファクタリングの契約では必ずファクタリング手数料が発生しますが、そのほかの費用が発生するかどうかは会社やサービスによって異なります。
償還請求権の有無もきちんと書面で明文化しておいてもらわなければ、安心して申し込めません。
透明性が高く信頼できるファクタリング会社は、どのような条件での契約かすべて開示してくれます。
逆に言えば、条件の開示を渋るような会社は、利用者にとって不利となるような条件を隠して契約させようとしているかもしれないので、利用しないようにしましょう。
ファクタリング契約書の償還請求権条項チェックポイント
「ファクタリングでは償還請求権の有無をきちんと確認する」ということを意識して契約に臨んでも、契約書にはさまざまな専門的な言葉や法律用語が記載されています。
そのため、実際に契約書に目を通しても償還請求権に関してどこをチェックすればよいか分からない、ということも考えられるでしょう。
対面での契約であれば、その場で担当者の方に疑問点を確認できるかもしれませんが、最近ではオンラインでの契約形態も増えてきているので、不安を抱えたまま契約書にサインすることになってしまいます。
契約書のどういったポイントをどのような視点で確認すべきかについて、実務的な視点から詳しく解説します。
契約書の償還請求権条項の記載パターンと注意すべき表現
契約書の中に「償還請求権」という表現が直接用いられていれば、その内容を詳しくチェックすることで、償還請求権に関してどのような取り決めになっているかを把握できるでしょう。
しかし、場合によっては償還請求権という言葉を直接用いずに、売掛先が倒産した場合の売掛金の扱いについて記されていることもあります。
とくに注意すべきは「買戻請求権」や「遡及権」といった表現で、これらが契約書に記載されている場合は、「償還請求権あり」と同じ形での契約となっている可能性が高いです。
「~権」といった表現ではなく、「利用者は譲渡した債権が予定通り支払われない場合に、ファクタリング会社に対してその全額を支払うものとする」というように、償還請求権の具体的な中身が噛み砕かれて記載されていることもあります。
また、こういった内容が契約書の分かりやすいところではなく、「特約」と銘打って契約書の末尾などにこっそり記されているケースもあります。
ファクタリングを何度か利用したことがある方であれば、チェックすべきポイントや内容はある程度把握できていると思いますが、初めてファクタリングを利用する方はとくに注意しなければなりません。
手数料の内訳・支払条件・中途解約条項の3つを必ず確認する
償還請求権と同じくらい、契約において内容をきちんと把握しておくべきものに「手数料」があります。
ファクタリング実施時には必ずファクタリング手数料が発生しますが、そのほかの手数料(振込手数料、事務手数料など)が必要かどうかはファクタリング会社によって異なります。
契約書を確認する際は、ファクタリング手数料の割合だけでなくその内訳も確認して、把握していない手数料を別途上乗せされていないかどうかチェックしましょう。
また、売掛先から入金があった際にそのお金をいつごろまでにファクタリング会社に支払う必要があるか、万が一支払いが遅れた際にはペナルティがあるか、などの条件に関しても確認が必要です。
支払条件がシビアだと、対応が遅れることで余分なコストが発生してしまうかもしれません。
ファクタリング会社の乗り換えは原則として自由であり、今利用しているファクタリング会社より有利な条件で資金調達を行えるところを見つければ、そちらに乗り換えたいと考える方もいるでしょう。
ただ、継続的な利用を前提とした契約の場合、契約書に「中途解約条項」が盛り込まれていることもあります。
条項の内容は、解約時の違約金支払いや解約時の事前通告の必要性など、契約に応じてケースバイケースですが、自社にとってより有利な形で資金調達を行いやすくするためにも、必ず確認しておきましょう。
契約書締結前の確認手順と専門家レビューの活用
契約書が届いたら、まずは内容をひと通り読み込むことから始めましょう。
専門的な用語も数多く使われていると思いますが、内容をまったく理解できないわけではなく、所々に「ん?」となるところがあるような感じだと思います。
疑問を感じたところには付箋を貼っておくなどして後から確認できるようにしておき、契約書全体に目を通し終わった後に、付箋箇所の疑問点を潰していくとよいでしょう。
自分だけではすべての内容を理解するのが難しいと感じるのであれば、弁護士や公認会計士といった専門家の方に契約書を確認してもらうのもおすすめです。
弁護士や公認会計士の方への依頼には数千円~程度かかりますが、契約書の内容をきちんと把握しないまま契約を結んだ場合、それをはるかに上回る損失を負うことになる可能性も十分考えられます。
さまざまな手段を尽くして、契約書の内容で理解できない箇所はないと言い切れるぐらいになったうえで、契約を交わしましょう。
償還請求権に関するよくある質問5選
ここまで、償還請求権の概要や、償還請求権の有無によるメリット・デメリットなどについて解説してきました。
まだまだ気になることや不安なことがある方向けに、償還請求権に関するよくある質問に対して、Q&A形式で回答していきます。
償還請求権に関する疑問を解消するために、ぜひ参考にしてください。
償還請求権の正しい読み方と意味はなんですか?
償還請求権は「しょうかんせいきゅうけん」と読み、償還には「金銭債務を返済する、出費の埋め合わせを行う」という意味があります。
金融の世界における償還請求権は、譲渡した債権などが回収不能になった際に、譲受人が譲渡人に対して代金の返還を求めることができる権利です。
ファクタリングに当てはめて考えると、「売掛先が倒産して買い取った売掛金が入金されなくなった場合に、ファクタリング会社が利用者に対して支払った金額の返還を求めることができる権利」といえます。
英語で「償還請求」を表す単語が「recourse」なので、償還請求権ありのことを「リコース」、償還請求権なしのことを「ノンリコース」と表現することも多いです。
日常生活であまり耳にする単語ではないものの、ファクタリングの契約においては重要な概念を表すので、償還請求権およびリコースやノンリコースに関しては意味をきちんと把握したうえで、契約を交わすことが重要です。
簿記2級で償還請求権はどう扱われますか?
日商簿記検定2級において、償還請求権の取り扱いはとても重要なポイントのひとつです。
簿記上のルールでは、債権を譲渡した際に償還請求権があるかないかで、その取引を「売却」として処理するか「借入(融資)」として処理するかが異なるからです。
償還請求権なしであれば、売掛金を帳簿から消去し、「債権売却損」などを計上する売却処理を行います。
しかし、償還請求権ありの場合は実質的に債権を担保にした借金とみなされるため、帳簿上は「債権売却損」ではなく、負債として処理するなどの調整が必要です。
簿記の試験対策としてはもちろん、実務においてもファクタリングを利用した際の仕訳が「資産の減少」になるのか「負債の増加」になるのかは、自己資本比率などの財務指標に直結します。
株式の償還請求権とファクタリングの違いはなんですか?
ファクタリングではなく株式においても「償還請求権」という言葉が出てきますが、両者の意味は若干異なります。
ファクタリングにおける償還請求権は、これまで説明してきたとおり、「売掛先が倒産して買い取った売掛金が入金されなくなった場合に、ファクタリング会社が利用者に対して支払った金額の返還を求めることができる権利」です。
これに対して株式の償還請求権は、「株主が会社に対して、所有している株式をあらかじめ決められた金額で買い取るように求める権利」のことを指します。
言葉は同じですが、取り扱う対象や権利を行使する主体などがそれぞれ異なるため、両者を混同せずに認識することが重要です。
民法の求償権と償還請求権は同じものですか?
求償権と償還請求権は、法的な性質はとてもよく似ていますが、用いられるシーンや権利の対象物などの観点で違いがあります。
求償権は、他人のために債務を弁済した場合に、元の債務者に対して費用の返還を求めることができる権利です。
連帯保証人が債務を肩代わりした後で、本来の借り手に対して支払いを求めるようなケースでは、求償権が行使されているといえます。
一方償還請求権は、譲渡した債権などが回収不能になった際に、譲受人が譲渡人に対して代金の返還を求めることができる権利です。
求償権と比べると、「譲渡した債権における不備や欠陥」という点が強調されているところに若干の違いがあるといえるでしょう。
ファクタリングの契約では償還請求権という表現が用いられるのが一般的ですが、求償権という表現が用いられるケースもあります。
いずれの表現が用いられていても、「最終的に自社が支払いを行わなければならないかもしれない」という可能性があるので、償還請求権や求償権の有無に関してはきちんと確認しておかなければなりません。
不渡手形が出たら償還請求権はいつまで行使できますか?
手形割引などの取引において振出人が不渡りを出した場合、銀行などの金融機関が裏書人に対して償還請求権(手形割引においては遡及権)を行使できる期間には、法的な時効が存在します。
手形法によれば、「不渡りが発生した日の翌日から起算して1年」がその期限で、この期間を過ぎると手形法に基づいた請求を行うことはできません。
しかし、これはあくまでも手形法をベースとした話であり、民法をベースとしたファクタリングにおいては考え方が異なります。
ファクタリングの契約において民法上の債権としての請求権が設定されている場合、その期間は通常5年です。
そのため、期間において明確な定めがないのであれば、償還請求権の期間に関しては民法の消滅時効(権利を行使できることを知ったときから5年、または行使できるときから10年)が適用されるのが一般的です。
このあたりはそれぞれの契約に応じてケースバイケースなので、どのような形での契約になっているかを把握したうえで最終的な判断を下しましょう。
ファクタリングでは償還請求権なしを選ぶべき理由
本記事では、ファクタリングにおける償還請求権に関して、さまざまな角度から解説してきました。
償還請求権ありとなしにはそれぞれメリット・デメリットがありますが、売掛先の倒産リスクを自社から切り離すことができるという観点において、償還請求権なし(ノンリコース)のほうが総じておすすめです。
ここまで記事を読み進めていただいた方ならおおよそ理解していただいているとは思いますが、ファクタリングで償還請求権なしを選ぶべき理由について、最後にあらためてまとめておきます。
ファクタリングの契約においてチェックすべき項目のリストも載せておきますので、契約前の最終チェックとしても活用してください。
償還請求権なしが安全な資金調達の基本
ファクタリングは、売掛金を売却することで資金調達を行う方法であり、一般的に売却した対象の所有権や責任は売却した先に移ります。
そのため、ファクタリング実施後に売掛先が倒産してしまったとしても、それによる被害はファクタリング利用者には及びません。
「売掛先の倒産リスクを自社から切り離すことができる」ということは、ファクタリングで資金調達を行うことの大きなメリットのひとつです。
しかしながら、償還請求権ありのファクタリング契約では売掛先の倒産リスクを自社から切り離せていないため、売掛先から売掛金が入金されるまでは本当の意味では安心できません。
また、償還請求権ありだと会計上は負債として処理しなければならないため、自己資本比率などの財務指標にも影響を及ぼします。
一方、償還請求権なしの契約の場合、ファクタリング契約を交わして資金調達を完了してしまえば、その後資金の返還を行わなければならない事態に陥ることは決してありません。
会計上も負債としてはカウントされないため、自己資本比率にネガティブな影響を及ぼすこともありません。
このように、実務的・会計的な観点の双方から安全に資金調達を行うことができるのが、償還請求権なし(ノンリコース)のファクタリングというわけです。
手数料より安全性を重視すべき理由と最終チェック
償還請求権なしのファクタリングでは、契約を交わした瞬間から、売掛先の倒産リスクをファクタリング会社が負うことになります。
ファクタリングでは、リスクが大きい契約においてはその分は利用者が支払う手数料に転嫁されるのが一般的です。
そのため、ファクタリング実施時に支払うことになる手数料に関しては、償還請求権ありの契約よりも償還請求権なしの契約のほうが高めに設定される傾向にあります。
ただしそれは、「将来的なリスクを鑑みた必要経費」と捉えることも可能です。
償還請求権ありの契約を選んで数万円程度の手数料を節約できたとして、その後売掛先の倒産によって数百万円・数千万円といった金額の返済義務を負うことになってしまっては、本末転倒でしょう。
「万が一」の事態を必ず避けるためにも、多少手数料が高くとも安全性を重視して契約を交わすべきです。
最後に、安心してファクタリングの契約を交わすために契約書において確認すべきチェックポイントを、以下に挙げておきます。
- 契約書に「償還請求権なし」または「ノンリコース」と明記されているか?
- 「買戻請求権」や「遡及権」といった、実質的に責任を負わされる表現がないか?
- 「売掛先の倒産」が免責事由に含まれているか?
- 手数料の内訳が透明ですべて納得できる内容か?
これらすべてを満たす契約内容になっていれば、安心して契約して問題ないでしょう。
資金調達において、調達までのスピードや調達コストという要素は確かに重要ですし、それらを基準として調達方法を比較検討することは妥当です。
ただ、事業の継続性ということを考える場合、もっとも重視すべきは「安全性」であることは揺るぎません。
ファクタリング会社やサービス同士を比較する場合、「償還請求権なし」であることを大前提としたうえで、入金までのスピードやファクタリングの手数料割合などの観点で、比較するようにしましょう。
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