クラウド会計ソフトのメリットとデメリット

クラウド会計ソフト

クラウド会計ソフトが近年急速に普及してきました。サービス提供当初よりも、価格面の変化や機能面の進化がみられます。過去にコスト面などの理由で導入を断念した方でも、今一度確認する価値はあるのではないでしょうか。

このコラムでは、クラウド会計ソフトのメリットとデメリット、および導入にあたり注意したい点をご説明します。クラウド会計ソフトは業務効率化を中心としたメリットが多くあります。現在の会計業務を効率化したい方は、一度内容を確認してみてください。

 

クラウド会計とは?

会計ソフトは、入力した仕訳を集計して試算表や決算書を作成するためのソフトです。それだけでなく、予算や前年数値との比較などの管理機能も備えられていることが多くあります。

会計ソフトには、インストール型とクラウド型があります。

  • インストール型

特定のパソコンにインストールして使用する会計ソフトです。

  • クラウド型

クラウドサービスを利用した会計ソフトで、会計データはクラウド上に保管されます。特定のパソコンだけでなく、インターネットに接続された環境であればどこからでもアクセスが可能です。

会計ソフトはインストール型の会計ソフトのみでしたが、クラウド型の会計ソフトがサービス提供を開始し、近年急速に普及してきました。

 

クラウド会計ソフトのメリットとデメリット

クラウド会計ソフトのメリットとデメリットを、インストール型と比較しながらそれぞれ紹介するとともに、デメリットについてはその対処法も合わせて説明します。

クラウド会計ソフトのメリット

メリットは主に以下の5点です。

  1. インターネット接続環境があれば場所と時間を問わずに利用できる
  2. 複数人での同時利用ができる
  3. データのバックアップが不要
  4. 会計ソフトのアップデートが自動でおこなわれる
  5. 銀行データなどの自動読み込み機能がある

それぞれインストール型と比較して説明します。

1.インターネット接続環境があれば場所と時間を問わずに利用できる

【インストール型】
会計ソフトがインストールされたパソコンでしか利用ができません。

【クラウド型】
インターネット接続環境があれば場所と時間を問わずに利用可能です。自宅や出張先などでも会計ソフトにアクセスできるため、テレワークの実施などの多様な働き方や、管理者が外出先で帳簿を確認するといったスピーディーな対応も可能になります。

2.複数人での同時利用ができる

【インストール型】
会計ソフトがインストールされたパソコンでしか利用ができず、もし複数台にインストールしたとしても、原則として会計ソフト同士は連携されていません。このため会計ソフトへの入力は、インストールされたパソコンにおいて一人でおこなうことが前提になります。

また、会計データはソフトがあるパソコン内にのみあります。このため、帳簿を確認したい場合はこのパソコンのデータを直接確認するか、印刷したりデータを出力したりする必要があります。

【クラウド型】
インターネット接続環境およびIDとパスワードがあれば利用可能であり、複数人が同時に接続し、入力することもできます。規模が大きくなると、一人で記帳するのは負担が大きくなります。複数人で同時にアクセスして記帳できると、個々の事務負担が軽減されるでしょう。

また、社長を始めとして記帳の担当者以外の方もアクセスができ、帳簿の内容を確認できます。社長が経理に依頼したり、経理が社長に報告したりする手間が省けるでしょう。

また、顧問税理士などの外部の方もアクセスが可能です。会計事務所に会計データを見てもらえれば、データや帳票を別途送付する必要がなくなります。

3.データのバックアップが不要

【インストール型】
インストールされたパソコン内にのみ会計データがあるため、パソコンが突然故障した場合などに備えて、定期的にバックアップをとる必要があります。

【クラウド型】
会計データはクラウド上にあるため、自動で保存されます。手動でのバックアップが不要になれば、安心かつ事務負担も軽減されるでしょう。

4.会計ソフトのアップデートが自動でおこなわれる

税法は消費税を始めとして変更されることが多く、会計ソフトもそれに合わせてアップデートされます。アップデートの方法は以下のとおりです。

【インストール型】
アップデートされた会計ソフトを再度インストールします。

【クラウド型】
インターネットを通じて自動で更新されます。アップデートを忘れることなく、安心して最新の会計ソフトを利用できるでしょう。

5.銀行データなどの自動読み込み機能がある

【インストール型】
自動読み込み機能が利用できるケースがあります。特に銀行取引の読み込みは多くの事業者が利用したい機能であり、インストール型の会計ソフトでも実現できることが多いでしょう。

【クラウド型】
銀行の入出金記録を自動で会計ソフトに取り込んだり、クレジットカードの明細や、エクセルのデータを読み込んだりすることで、仕訳入力の省力化が可能です。また、販売ソフトや給与ソフトなどの会計以外のソフトと連携してデータを読み込めるケースも多くあります。

クラウド会計ソフトでは、他ソフトとの連携や、読み込みできるデータの種類などの多さで、インストール型よりもより使い勝手のよいものとなっています

自動読み込み機能は、仕訳の入力負担を軽減するだけでなく、入力ミスを軽減でき、業務の効率化につながるでしょう

クラウド会計ソフトのデメリット

一方で、クラウド会計ソフトのデメリットは主に以下の3点です。

  1. 導入コストおよびランニングコストが発生する。
  2. インターネット環境がないと利用できない。
  3. 操作するにあたり動きが遅いケースがある。

それぞれインストール型と比較して説明します。

1.導入コストおよびランニングコストが発生する。

【インストール型】
ソフトを導入時に買い取りの形をとることが多い状況です。

【クラウド型】
導入コストおよび毎月の利用料を支払います。このため、利用している限りコストが発生し、負担感を感じるケースもあるでしょう。

しかしクラウド型会計ソフトは前述したようにさまざまなメリットがあり、事務効率化を図れます。将来得られるメリットと比較し、コストを負担してもよいか検討しましょう

2.インターネット環境がないと利用できない。

【インストール型】
インターネット環境がなくても利用可能です。

【クラウド型】
インターネット環境がないと利用できないため、ネット環境のトラブル発生時、メンテナンス時などはまったく閲覧できなくなります。短時間かもしれませんが、必要な時に利用できないケースもあり得ることを認識しておきましょう

3.操作するにあたり動きが遅いケースがある。

【インストール型】
会計取引を仕訳の形で入力し、マウスだけでなくキーボードで操作する仕様のものが多く、慣れると早く操作が可能です。

【クラウド型】
画面の動きがインストール型よりも少々遅く感じるケースがあります

会計ソフトにはさまざまな種類があるため一概にはいえませんが、クラウド型の会計ソフトは、簿記の知識が少ない方でも入力がしやすい仕様のものや、マウスを利用して操作をする仕様のものが多くあります。簿記の知識が豊富で、入力はすべて「仕訳」の形でおこないたい方や、普段マウスを使わない方などは、クラウド会計型のソフトの操作性に違和感があるかもしれません。

この問題に対しては、自動読み込み機能の利用が効果的です。前述したようにクラウド会計型のソフトでは、自動読み込み機能を駆使して極力入力をせずに済む仕様のものが多くあります。仕訳をすべて入力するのに比べて、業務の省力化を図り、入力ミスを極力防ぐことができます。

導入の際の注意点

以上のようにクラウド会計ソフトにはメリット、デメリットがあります。導入の際の注意点は、主に以下のとおりです。

  • クラウド会計ソフト導入後、どのように業務効率化ができるか、業務フローをイメージする
  • 自動読み込み機能を期待している場合、読み込む元データはどのように作成するか、販売管理システムなどの他のシステムからの連携を期待している場合は可能かどうかを確認する
  • セキュリティ対策をベンダーに確認する
  • 顧問税理士が、導入するクラウド会計ソフトに対応しているか確認する
  • 現在の会計ソフトからスムーズに移行できるかどうかを確認する
  • 移行し、スムーズに運用するまでにはある程度の時間がかかるため、導入時期は決算期近くなどを避け、ある程度の準備期間を設ける

期待した効果が得られるか、事前によく検討しておきましょう。

まとめ

現在、インストール型を利用している事業者は多いのではないでしょうか。会計ソフトを変更するには手間もコストもかかりますし、変更後に社内でスムーズに運用するには時間も必要です。必要性が高くないと、検討しないケースも多いでしょう。

そのような場合でも、クラウド会計ソフトの機能、メリットを知っておくことは大切です。今後社内の業務効率を上げたい場合に選択肢のひとつとできるでしょう。そして、機能は日々進化しています。以前検討して導入に至らなかった場合でも、最新の情報を得ておくとよいのではないでしょうか。

電子帳簿保存法の改正により、会計資料を電子データで保存をするための要件が緩和してきています。クラウド会計ソフトでは、電子データのままクラウド上で保存をし、仕訳にも紐づけられる機能があることが多くあります。このような需要にも対応できるため、一度クラウド会計のメリットを確認してみてはいかがでしょうか

仙波総合会計事務所は、クラウド会計ソフトであるfreee会計の認定アドバイザー最高ランク5つ星に認定されています。ご相談は無料でおこなっていただけますので、お気軽にお問い合わせください。