売上を計上する日とは?売上計上時期の考え方やfreeeでの登録時の注意点を解説

「売上はいつ計上すればいいのか?」

売上を計上するには、いつ、どの金額で計上するかを決めなければなりませんが、売上の計上基準は一つではなく複数認められています。

どの計上基準を採用すればよいのか、自社にはどの計上基準が適しているのか、など気になる点も多いのではないでしょうか。

この記事では売上の計上基準の基本的な考え方と、主な取引形態別に採用すべき売上計上基準について説明すると同時に、freeeにおいて売上を計上する際の注意点についても解説します。

売上の計上時期は税務調査で問題になることが多いのでよく確認しておきましょう。

1.売上の計上基準が「超重要」な理由

会計において、売上の計上時期については非常にシビアに考える必要があります。

売上の計上時期は税務調査において必ず論点となる項目だからです。

調査官は必ず「調査対象となっている事業年度の翌期に計上されている売上のうち、調査対象となっている事業年度に計上すべき売上はないか」という視点で確認してきます。

したがって、特に決算期近くの売上には注意し、自社が採用した計上基準に従って会計処理がされているか確認した上で、その根拠、証拠書類等をしっかり残しておきましょう。

売上の計上時期を誤っていた場合、過少申告加算税や延滞税などが課されるケースも出てくるため、注意する必要があります。

2.売上の計上基準の基本は実現主義

売上の計上基準として「収益認識に関する会計基準」が公表されましたが、現時点では中小企業は必ずしもこれに従わねばならない訳ではありません。

中小企業では企業会計原則等による会計処理が認められており、一般的には実現主義によります。

実現主義とは商品やサービスを提供し、現金同等物(現金や売掛金など)の対価を得て収益が実現した時点で売上を計上する考え方です。

とはいえ「実現した時点」をいつとするのかについては基準が複数あるため、以下で一般的に適用されることが多い基準について説明していきます。

3.取引形態別の売上計上基準

「売上が実現した時点」は取引形態・業種で異なるため、自社に合ったものを判断して合理的なものを採用し、さらに継続適用していく必要があります。

(1)商品、製品などの棚卸資産の販売

商品、製品などの棚卸資産を販売した場合は、その商品等を引き渡した日に売上を計上することが原則となります。

その際、具体的に引き渡した日がいつなのかという判断については、一律で全ての事業に対して同じ基準を適用することは実質的には不可能なため、商品等の種類、または販売形態等に応じて、次のような基準から自社にあったものを選択して適用することとなります。

なお、実際にはさらに多くの基準がありますが、ここでは一般的に採用されている基準をピックアップして記載しています。

①出荷基準

商品、製品などを倉庫などから出荷した時点で引き渡したと判断し、この時点で売上を計上する方法です。

②納品基準

商品、製品などを取引先に納品し、受領印等をもらった時点で引き渡したと判断し、この時点で売上を計上する方法です。

③船積基準

商品、製品などが通関手続きを経て、船等に積載された時点で引き渡したと判断し、この時点で売上を計上する方法です。

輸出事業においてよく採用されます。

④検収基準

商品、製品などを取引先が検収した時点で引き渡したと判断し、この時点で売上を計上する方法です。

試運転などが必要な製品を販売している業種でよく採用されます。

上記のうち、①~③の計上方法については、自社において把握することが可能なため、売上の計上時期を容易に把握することができますが、④の計上方法については、取引先の検収のタイミングを把握する必要や検収が完了した旨の通知書類等を発行してもらう必要があるなど手続きが煩雑なため、事前に取引先との検収に関するルールを取り交わしておくことが重要となります。

(2)役務の提供

役務(サービス)を提供する場合には、その役務(サービス)を提供した日に売上を計上することが原則となります。

それでは、役務(サービス)を提供した日がいつになるのかを具体的に見ていきます。

こちらも、実際には多くの基準がありますが、一般的に採用されている基準をピックアップして記載しています。

①完成引渡基準

請負工事や受託開発など、物の引き渡しが必要な役務の提供において、目的物の全部を引き渡した日に売上を計上する方法です。

ここで、引き渡した日がいつになるのかについては、作業を完了した日、取引先の受け入れ場所へ搬入した日、取引先が検収した日、取引先において使用収益ができることとなった日等の中から、契約の内容等に照らし合理的なものを選択して適用します。

②役務完了基準

コンサルティングサービスや清掃サービスなど、目的物の引き渡しが必要ではない役務の提供において、その約した役務の提供の全部を完了した日に売上を計上する方法です。

上記のような日常的または反復的なサービスの場合は、履行義務が充足されていくそれぞれの日に売上を計上することとなりますが、月単位での契約となっている場合などは毎月月末時点で当該月に提供すべき役務の提供の全部が完了したものとして売上を計上することが一般的です。

4.売上の計上基準は頻繁に変えることができるか?

上記の通り、売上の計上方法については様々な種類がありますが、いったん採用した計上方法については、基本的に継続して適用する必要があります。

変更するためには、取引事情、販売方法や契約条件等が変更となった場合などの正当な理由がある場合に限られているため、注意が必要なります。

5.freeeでの登録に関するワンポイントアドバイス!

freeeでは、請求書発行画面から請求書を作成することで、自動で売上を計上することが可能です。

請求書作成画面において新規で請求書を作成した場合、デフォルトで「売上計上日(赤の枠で囲ってある日付)」に作成日が記載されているため、自社の売上計上基準に基づいた売上計上日に修正する必要があります。

修正しない場合、請求書を作成した日付で売上が自動で計上されてしまうため、注意が必要です!

なお、取引先ごとにメールアドレスや住所をちゃんと登録しておくことで、当該作成した請求書を1クリックでメール添付や郵送の形で送ることが可能です。

毎月の請求書発行業務にかけていた時間が劇的に短縮されますので、ぜひ合わせてご活用ください!

まとめ

このように売上の計上基準は取引形態や業種等によってさまざまですが、基本的な考え方を理解した上で、さまざまな基準の中から自社にあった計上基準を選択し、継続して採用しましょう。

仙波総合会計事務所では、freeeをうまく使いこなすためのノウハウを日々蓄積し、クライアントの皆様にご提供させていただいております。

新しく会社を設立されてこれからfreeeで記帳を始めようと考えている方、他のソフトからfreeeへ乗り換えたもののうまく使いこなせていない方など、スタートアップ企業から上場会社まで幅広くサポートさせていただいておりますので、ぜひ、お気軽にお問合せください!